WS002354


拓馬と美沙は同じクラスにいるにも関わらず気軽に会話出来なくなり、予定の話すら出来なくなっていた。

そこで拓馬は美沙に英語を教え込む事にした。普段の会話を英語にして、重要な情報はそこから更に暗号で会話するというスパイ大作戦を考え出した。

自宅の電話で美沙にその事を伝えると美沙は「うふ それ面白そう」と乗り気である。そして自由に出歩けなくなった美沙と会うために今度は拓馬が美沙の家に行くことにした。

そして学校から帰ると美沙の家で英会話を勉強し始めた。元々拓馬と美沙で秘密の会話をする為に使う英語なので、覚える単語もそう多く必要は無く、徐々に使える単語を増やせばいいという事にした。

美沙の家に拓馬が毎日のように遊びに来て、部屋では一緒に勉強している姿を見た美沙の母は拓馬大歓迎である。拓馬はすっかり美沙の母とも仲良くなった。

1ヶ月ほど英会話を覚えて、学校で親衛隊に囲まれている美沙に英語で話しかけてみた。すると親衛隊はきょとんとして美沙を見た。

すると美沙も英語で話し始めた姿を見て親衛隊の顔が「えぇ~~」という顔になって行った。親衛隊のメンバーが「何話してるか分からない」とショックを受けた様子、それが美沙も面白くてノリノリであった。

そんな習慣が付くと美沙も英語の成績がグンと上がり、1年の3学期期末テストでは拓馬と一緒に満点を取れたのだ。

美沙の母は大喜び。その姿を見た美沙は嬉しくなり、拓馬にもっと色々勉強の仕方を教えてほしいとお願いし、歌の練習と勉強と猛烈に忙しくなっていった。

そんな忙しい毎日を送りながらも、拓馬は新曲を書いていた。自然と頭に浮かんでくる曲があり、それを書き留めていると、ふと前回の人生の事を思い出していた。

「そう言えば、この曲って・・・」そう、自分で作曲したと思っていた曲は前回の人生で聞いた曲である事に気が付いたのだ。

「そうか~聞いたことがあるから、自然と思い出すのか~」
「でもまてよ、それでは一番最初に作った人っていなかったのだろうか?」と起源の事を考えた。

しかし、前回の人生の事を覚えていて今の人生があるというこの不思議の解明すら出来ていない状態ではどうすることも出来ず

「やっぱり聞いたことがあるけどまだ今の世界では存在しない曲なんだよな」と思い、いいや、どんどん思い出したら新曲としよう。と前に進むことにしたのであった。

悪夢

2年生に進級した拓馬はこの頃、悪夢を見ては夜中に目が覚める事が度々あった。寝ていると突然大きな衝撃に襲われ、次に大量の水が来て溺れていく。

苦しくて目が覚めるのだ。汗びっしょりで目が覚めて「はぁ はぁ」とこれが何なのか拓馬は全く理解できず、困っていた。

元々やりたい事が多すぎて、寝る時間が惜しいと常に寝不足状態であったので、寝るときは完全熟睡というか気を失うように寝ていた。

それが最近悪夢で目が覚めるのだが、夢の中の状況が全く理解できず、思い出すことも出来ない。「一体何なんだ?」と目が覚めた直後は考えるが、直ぐに眠くなり「ま、いっか」と気を失った。

親衛隊

2年に進級と同時にクラス替えもあったのだが、先生方の配慮なのか拓馬と美沙はまた同じクラスであった。2年2組だ。そして今度は同じクラスに輝美もいた。

輝美は密かに拓馬と同じクラスになった事にワクワクしていた。そんな輝美の気持ちも拓馬と美沙は薄々感じていたのだが、どうにも出来ない為、知らないふりをするしかなかった。

そして更に強力なクラスメイト畑山信子がいた。信子は美沙の親衛隊隊長である。1年の時は8組であったのでそれほど影響力は無かったのだが、今度は同じクラスだ。

美沙の行動には常に目を光らせており、美沙へ近づく者のチェックは厳しかった。そして休み時間等は常に美沙の隣にいて、トイレにも付いていくといった徹底ぶりだ。

信子は陸上部で砲丸投げをやっている事もあり、普通の男子では怖くて近寄れないのだ。まあここまでなら笑える程度なのだが、一番困ることは美沙のスケジュールを把握しようとすることであった。

美沙専用のスケジュール帳まで用意しており、行動記録を付けている。今でいうストーカーに近いのだが、美沙を守るといった、何から守るのか知らないが、信子なりに何か妄想している感じなのである。

信子の存在感が増してくると拓馬も近寄りがたい雰囲気になり、遠くから顔を見合わせては困り顔になっていたのであった。

拓馬は仕方がないので、美沙の近くを通り過ぎる時に暗号を告げては立ち去るといった戦法を取っていた。何を考えているのか信子はその暗号文も全てメモしており、解読を試みている様子なのだ。一体何がしたいのかもはや意味不明の存在になりつつあった。


一方拓馬には親衛隊のような組織は出来てないのだが、元々友達の少なかった拓馬ではあったが、文化祭以降男女共に話しかけてくる人数が増えていた。

しかし教室にいる時は、拓馬は机の上でノートに何やらびっしりと書き込んでいるし、譜面を書いたり手を加えたリと集中しているので話しかけずらい雰囲気であった。

それでも廊下へ出て歩き出すと、他のクラスの女子達が2mほど離れて後ろを付いてきており、拓馬もそれを分かっていて、不意に立ち止まりクルリと振り返ると「きゃっ」と声が出る。その反応がちょっと面白くて遊んでいた。


つづく・・・





 
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