WS2009_000029

いよいよ構成も決まり準備が整い、2年生メインの文化祭である。昨年のステージを見ている同級生たちはもう始まる数日前から話題になっていて、楽しみにしている様子であった。3年生も未だに2年の美沙がいる教室へやって来る生徒が絶えないので文化祭は本当に楽しみな様子だ。

例によって校内発表なのに美沙の両親は、ちゃっかり最後部に席を用意してもらっている。
そして、またまた司会は軽妙なトークで人気のある山下先生だ。緞帳(どんちょう)が下がったステージの前に山下先生が登場し、待ちわびていた生徒たちの喝さいを浴びている。

「それでは お待たせしました 昨年県大会金賞受賞の吹奏楽部です どうぞ!」と言うと緞帳が上がりはじめ、ステージが見えてくると、ひと際拍手が大きくなり、その盛り上がりに吹奏楽部のメンバーもワクワク度が増してやる気になっている。

やはり指揮台には拓馬が乗っており、会場に一礼すると、くるりと向きを変えて指揮棒を上げた。会場もシーンと静まり返ると、オープニングはやはりルパン三世のテーマで、どーんと始まった。

期待通りの音に観客のボルテージは最初から飛ばしていて、物凄い盛り上がりである。そして見事に「ジャン!」とぴたりと合った演奏が終わると、もう会場総立ち。

すかさず山下先生が「はい どうも~ルパンのテーマでした~」「わぁ~~~~~」と一呼吸おいて「さて、次はやはり文化祭バージョン 歌入りです」と紹介されると「待ってました~~~」「美沙~~~~」と声が飛んだ。

「昨年のステージで大変評判がよかった月のワルツ、是非もう一度聞きたいというリクエストが多かったので、今年もお送りします」と紹介されるともう司会者の声が聞こえないほどの歓声が沸き起こった。
「では みっさ~~~ どうぞ~」と紹介されると「美沙!」「美沙!」「きゃぁ~~~」と女生徒の人気が物凄い勢いである。

美沙が出てくると会場は大変な状態で先生方もたじろいでいた。司会者が「水野美沙さんです」と改めて紹介し、今年の衣装は可愛いですね~」とドレスを褒めた。

このドレスは拓馬が美沙の体に合わせて、曲のイメージ通りに作ったものである。素材はカーテンなのだが、半透明の無地のレースを頭からかぶり、肩に飾りがついて肘まで袖があり、スカートは波打つように重ねて、完全におとぎ話のお姫様である。

ドレスを褒められた美沙は「ありがとうございます」と答えると
「これはどうしたんですか?」と質問し
「岩城くんが作ってくれました」と美沙は紹介した。拓馬はピアノの席に座り、会場に向かってピースしている。

司会者はすかさず
「ウエディングドレスですか?」と突っ込むと、美沙は少し俯きながら左手の甲を口元に持っていき、右手で山下先生の肩をポンと叩いた。
先生は「失礼しました~」と言うと会場から爆笑が湧きおこっていた。

「それでは早速 歌の方をお願いします」と言うと美沙は軽く会釈をしてステージ中央へ進んだ。
司会者が「それでは皆さん お待たせしました 水野美沙が歌う 月のワルツ それから新曲 めぐる季節 2曲続けてお聞きください」

会場がシーンと静まり返ると演奏が始まり、美沙は気持ちよく歌い始めた。会場の一番後ろで両手を振っている人がいる。美沙のお父さんであった。

1曲目が終わると直ぐに2曲目がピアノから始まった。するとスタッフが3名ステージへやってきて、美沙のマイクを受け取ると、センタースタンドへマイクをセット。

残りの二人が美沙の隣へスタンバイすると、美沙は中腰で少し前かがみになった。
両脇のスタッフが半透明のベールをひらりと後ろへ取ると、美沙は両手を広げた。
肩から肘までの所に下がっているヒモを引くと、するするっと袖が取れて肩の飾りも外れた。
そしてヒダのついたスカートもストンと下に落ち、スタッフが足元で引き寄せる。
美沙はそれを跨いで前に進むと、ノースリーブのワンピースに早変わりした。
その裾はつま先が少し出る程度で、おとぎ話のお姫様から一気に大人の女性に変身した。
その手際の良さも併せて会場はどよめいていた。




 
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