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秋になると拓馬の同級生達も進学希望の学校の話で持ち切りであった。その頃、校長先生と拓馬の担任の先生、そして拓馬と美沙の両親も校長室へ集まっていた。拓馬と美沙も呼び出され、8名で秘密の会合が始まっていた。何とか出来るだけ普通に学校生活を送れるよう、出来るだけ同級生達には秘密にしておくことで話がまとまった。

当然注目を集めている二人なので、進学希望の学校はどこだ?と話題になっていたのだが、拓馬と美沙は「秘密」「ないしょ」と言って明かさなかった。3年の最後の文化祭は、拓馬と美沙が出ると大変な事になるという事で、出演を取りやめていた。昨年の一般公開の時、人が多すぎて大混乱であったのだ。

年が明けて3学期が始まると、受験最後の追い込みで皆緊迫していた。拓馬と美沙も邪魔をしないよう静かに過ごしていた。2月中旬には同級生達の進路も全員決まった。そうすると注目は再び拓馬と美沙に集まる事になった。

担任の先生が「岩城 もういいだろう」と言うので拓馬は「はい」と応え、前に出た。クラス全員の前で拓馬は話し始めた。「みんな 色々お騒がせして申し訳ない」「俺と美沙は東京の 大沢学園に行くことが決まったんだ」と言うと「大沢? 学園?」とざわざわし始めた。

「実はソローミュージックと専属契約を交わしたので、その会社の寮に入って、そこから大沢学園に通う事になったんだ」と言うと「おまえ デビューか!?」と誰かが言った。拓馬は右手で親指を立てたままグーを突き出した。ブワッと教室が沸いた。「すげー 同級生が芸能人だよ~」とか色々な声が湧き上がって大騒ぎになった。

少し収まった時、拓馬が続けて「みんなが受験でピリピリしている時、邪魔になってはいけないって事で秘密にしていたんだ。ごめん」と言うと
「そんな事あるか~ 気にするな~」
「おめでとう~」「すっげー」とまた大騒ぎだ。

美沙の事は何でも知りたいし、誰より一番知っていると思い込んでいた親衛隊長の信子は一人愕然としていた。自分はすっかり蚊帳の外に置かれていたことにショックを受けていたのだ。

この話も瞬く間に学校中へ広がる事になり、他のクラスからも人が出入りできない位集まっていた。そして3月に入り卒業式を迎え、楽しかった中学の生活も終わりを告げた。

さて、拓馬も美沙も引っ越しの準備やら何やらで大忙しであった。忙しい時は寂しさを忘れる事が出来る。拓馬と美沙の両親も寂しさを忘れて動き回っていた。


 
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