WS002365


拓馬と美沙は東京へ引っ越していった。同級生もそれぞれの学校へ進学し、新しい環境で過ごし始めていた。
そんな中、拓馬の母は一人しょぼくれていた。毎日拓馬の写真を眺めては、お茶を飲みながら「はぁ~」とため息をついて。

拓馬の母は、何度も防音スタジオの扉を開けては、誰もいない部屋を眺め、ピアノの前に座ったり、ベッドに寝ころんでみたリと、あの明るかった姿が最近、影を潜めていた。そしてもう一人、美沙の父だ。

家に帰るとテレビを付けて「美沙、本当に出たりするのかな」とチャンネルをガチャガチャ回していた。美沙の母も寂しそうにそんな美沙の父を眺めていた。この二家族だけは、火が消えたように家の中は静かであった。

そんな火が消えた美沙の家に、東京から電話がかかって来た。美沙からデビューが決まったという連絡であった。拓馬も家に電話をかけて詳細を連絡し、拓馬の母も久しぶりに明るさを取り戻していた。

そして拓馬の作曲した曲を美沙が歌い、ヒットを連発していた。同級生達も熱狂して応援していた。こうして拓馬は前回の人生で後悔していた事をやり直し、成功の階段を着々と登っていたのだった。



 
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